皆さんはストレスへの対処といわれると何をイメージするでしょうか?
おいしいものを食べたり、カラオケに行ったり、バッティングセンターなんかもいいですね。
でも、それって溜まったストレスを出しているんですよね。
そもそも、ストレスが溜まりにくくなったらいいと思いませんか?
今回はストレスが溜まりにくい自分になるために、近年セルフケアとして注目されている認知行動療法についてお話をしたいと思います。
そもそもストレスはどこからきている?
認知行動療法の話をする前にストレスがどういうものかということに関して少しお話をしていきます。下の記事に詳しく解説をしているので、そちらも参考にしてください。
記事:心がストレスにまみれる前に
日常の様々な刺激によって皆さんはストレスを感じます。
仕事や家事が大変、お金がない、対人関係がうまくいかない、などその原因も様々です。
でもこんなことはありませんか?
「あの人、自分と同じ大変な仕事しているのになんで平気な顔していられるの?」
「あの人と境遇は一緒なのになんで自分はこんなにしんどいの?」
このように同じ状況の中でも、自分だけがしんどくなってしまうのは
皆さんが頭の中で、ストレスになるような考えを生み出してしまっているからなんです。
そんなストレスになってしまう考えを切り替えていくことができれば、頭の中で生まれるストレスが少なくなるので、ストレスが溜まりにくくなりそうですね。
今回紹介する認知行動療法ではそうした考えの切り替えをすることができます。
認知行動療法とは?
認知行動療法は、精神科医療の中でも注目を浴びる手法で、もともとはうつ病の治療に使われているものなのですが、最近ではストレス対処などのセルフケアに用いられることも多くなっています。
細かいことを話し始めると、この記事だけでは収まりきらないんですが
要するに、自分の考え方や行動パターンを見直し、気持ちよく生活できるようになることを目指す方法なんです。
今回は認知行動療法のうち考え方を切り替える代表的な技法である認知再構成法について紹介します。
代表的な技法~認知再構成法~
皆さん職場や家庭など様々な場でストレスに感じる状況を経験していると思います。
先ほども伝えた通り、そのストレスは皆さんの考えから生まれているわけです。
認知行動療法ではストレスのある場面でパッと頭の中に出てきた考えを自動思考と呼んでいます。
この自動思考を以下のようにつのステップに分けて切り替えていきます。
- 状況を振り返る(いつ、どこで、何を、どうした?)
- その時の気分を振り返る
(不安になったとか、感情を一言で表し、その程度を0~100%で表現します) - その時パッと頭に浮かんだ考えやイメージを振り返る
- そのように考えた根拠を振り返る
- その考えが必ずしも正しくないといえる証拠(可能性)はないか考える
- 5で考えた証拠をもとに新しい考えを見つける
このままではわかりづらいので例を挙げて考えてみましょう。
仕事の帰り道、ホームで電車を待って並んでいたら一人の女性が列に割り込んできたという場面を思い浮かべながら、先ほどのステップに沿って考えていきます。
- 仕事の帰り道に、電車を待っているとき、女性に列の割り込みをされた
- イライラ(80%)
- ふざけるなこの野郎!人のことを考えない自分勝手な奴だな!
- 女性は列に並ばず横入りをしている
- ・私は女性が入れるくらいに前の人との間隔を空けてしまっていた
・この女性には列に並べない理由があるのかもしれない
・この時間帯に電車に乗っても座れないのは決まってるので、列に割り込まれても問題ない - 自分が列の間隔を空けすぎていて、この女性に並んでいないと勘違いをさせたのかもしれない。どうせこの時間帯だと座れるわけでもないし、割り込まれても別にいいか。
このように一つの状況に対して出てくる自動思考に焦点を当てて、
その思考があることで気分がもやもやとしてしまっているということを客観的に振り返り、
その考えが必ずしも正しくないかもしれない、と自分に問いかけていくのが認知再構成法です。
「そんなにすんなり切り替えられないよ」
「頭ではわかってても、イライラしちゃうからどうせストレスになるじゃん」 と思った方
まさにその通りなんです。この技法、1度や2度やったくらいではそんなに大きくは変わりません。
ただ、こうした自分の考えや気分を振り返る機会を作ることは非常に大切で、
認知再構成で客観的に自分を振り返ることを続けると、ストレスを感じる場面を思い返した時に副交感神経が活性化されるようになるという可能性が研究の中で示されているんです。
出典:コラム法が大学生の抑うつ気分に及ぼす効果の検討
つまり、客観的に自動思考や気分を振り返ることで、
ストレス場面を落ち着いて受け止めることができるようになるということになりますね。
認知再構成を繰り返す
認知再構成がストレス対して効果的なのが何となく見えてきたでしょうか。
身についてくると、わざわざ考えを切り替えようとしなくても、自然とストレスにならない考えが出てくるようになってきます。
ただ、身に付けるまでにはどんなものでも練習が必要です。
認知再構成も何度も繰り返すことで身についていきます。めんどくさいですよね。
毎回1~6のすべてのステップを繰り返すと大変です。
なので、初めのうちは1~3、つまり、嫌な状況に置かれた時の気分や自動思考を振り返る
これを繰り返しているだけでも頭の中が整理されます。
Awarefyというアプリでは、この3つのステップを簡単に振り返ることができますので、気になる方はダウンロードしてみてくださいね。
Awarefyこんな感じです。質問に答えながら自分の感情や自動思考をまとめることができるんです。便利ですよね。
プロ推薦、認知行動療法を学ぶためのおすすめ本
認知行動療法については様々な書籍が出ていますが、初心者の方には「こころが晴れるノート」という大野裕先生の書かれた書籍を読むことをお勧めします。認知行動療法の基本がとてもわかりやすく書かれています。事例なども載っているので理解しやすい本です。薄い本なのですぐに読めちゃいますよ。
こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳 [ 大野裕(精神科医) ] 価格:1,320円 |
セルフケア用に認知行動療法のエッセンスを使うという観点で行くと伊藤絵美先生の認知行動療法入門 ケアする人も楽になるBOOK1・2がとてもすんなりと入ってくる内容となっています。ストレスを抱えやすい対人援助職の方が、ストレスをどのように手放していけるかという流れで、看護師さんの事例を使いながら実際にどのように考えを切り替えていくかがわかりやすく書かれています。2冊組で少し量が多いですが、気づけば読み終えているそんな本です。
認知行動療法入門 ケアする人も楽になる BOOK 1 / 伊藤絵美 【本】 価格:2,200円 |
認知行動療法入門 ケアする人も楽になる BOOK 2 / 伊藤絵美 【本】 価格:2,420円 |
最近では様々な書籍が出ているので目移りしてしまうのですが、なんでもいいのでどれか1冊読んでみると役に立つと思いますので是非参考までにどうぞ
自分でうまく切り抜けられないストレスは専門家へ
ここまで認知再構成法を紹介してきました。
皆さんがお仕事や、日常生活の中でストレスを抱えないよう、考えを切り替えながら日々セルフケアができるようになってもらえるととてもうれしく思います。
ただ、ストレスが大きくなりすぎていると、認知再構成法を活用しても十分に効果を得られないこともあります。また、精神的に不安定になってしまうと、自分のことを客観的に振り返ることも難しくなってしまいます。
そんな時は、遠慮せずに専門家を頼りましょう。お近くにある精神科や心療内科でお医者さんに相談するでもよいですが、ストレスについてきちんと話を聞いてもらいたいのであれば、臨床心理士・公認心理師のカウンセリングを利用するとよいでしょう(お医者さんは話をじっくり聞く時間が取れないことが多いので)。
日本人はカウンセリングや精神科への通院に対して抵抗感を抱いていることが多いようですが、欧米では、ちょっと嫌なことがあって気分が落ち込んだくらいでも、カウンセリングを受けに精神科を受診するそうですよ。
認知再構成法についても、希望すればカウンセリングの中で一緒にやってもらえます(心理師さんによっては取り扱えない方がいるので事前に確認しておきましょう)。
心理師さんと一緒に考え方を見直すことで、自分のことが見えやすくなります。
心理のプロの視点から考え方を見てもらえるので、その考えがどうして生まれたのか、その考えをどうしていけば楽になるかを一緒に考えることもできるでしょう。
ストレスが大きいなと感じる方、考え方を切り替えられるようになりたいなと思う方は専門家に頼ることも考えてみてくださいね
まとめ
今回は認知行動療法という精神科医療でも注目されている気分のコントロール方法について紹介しました。ストレスが大きくならないように、考え方を切り替えてスッキリと過ごせるようになっていくといいですよね。
ではでは