認知行動療法における「条件付け」とは?〜行動を変えるメカニズム〜

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皆さんは人間の行動がどのように生じているかわかりますか?
人間には、行動を増やしたり生み出したりするメカニズムがあります。

今回は認知行動療法における「条件付け」についてお話していきます。

そもそも認知行動療法って何?という方は、下記記事を読んで頂ければこの記事が更にわかりやすく読めると思います。

ストレスへの効果的な対処法「認知行動療法」について

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行動を決めるメカニズム「条件付け」

人間が行動するにあたっての要素の一つに、「意思決定」というものがあります。
意味としては「ある目的に対して、達成の為に最も最適だと思われるものを選び出すこと」で、要は一番いい方法だ、と判断して行動することです。


例えば、皆さんは物を買う時には一番安いお店だったり、良質なサービスをしてくれるお店だったり、品揃えがよかったり、はたまた目の前にあって楽だったり、といった、自分が最も満足する方法でお店を選んでものを買っていると思います。

これはまさに最も最適だと思ったものを選び出す行動で、「意思決定」に該当する例です。
皆さんは普段の生活の中でこの意思決定をしながら行動をしています。

そしてその一方で、意思決定と同じくらいの頻度で、「条件付け」という現象が行動に影響を与えていることが多いです。
この文字だけを見ると、専門的で何か難しい感じもすると思いますが、意味合いとしては「特定の状況になると勝手に行動が生じる状態」あるいはその状態が作られることを「条件付け」と呼んでいます。(専門的にはもっと言い方があるんですが、ここでは簡単に…)

皆さんはいつもの行動を、どれだけ意識しているでしょうか?

わかりにくいかもしれないですが、人間の行動の多くは自動的に行われていることが多いです。

例えば、ごはんを食べる、朝起きてからトイレに行く…
こういった行動はもはや自分の習慣の一つとして自分の行動レパートリーに組み込まれているのではないでしょうか?
これらは条件付けに該当する例の一つとして、説明をすることが可能です。

条件付けには、大きく2種類存在します。

条件付けの種類
  • レスポンデント条件付け
  • オペラント条件付け

この2種類の違いを踏まえつつ、条件付けの定義を解説していきます。

レスポンデント条件付けとは?

皆さんは「パブロフの犬」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
あれはまさにレスポンデント条件付けを説明したものに該当します。

簡単に言うと、条件反射が条件に当てはまらないないものでも起こってしまうような状態になることを指します。

パブロフの犬

犬に餌をやると反射的にに犬が唾液を出す、という条件反射を利用し、餌をやる時に同時にベルを鳴らすようにします。
これを何度も行っていると、そのうち餌をやらなくてもベルの音を聞くだけで犬が唾液を出すようになるというものです。

これは結局のところ、本来条件反射が起こるはずのないものに対しても条件反射が起こるようになるということですね。
このようなことが日常生活にも起こっていることがあります。

例えば、上司にたびたび怒られている人がいるとしましょう。
その人は上司に怒られるたびにドキドキとしてしまいます。
そんなことを繰り返しているうちに上司と同じ眼鏡をかけている人を見るだけでもドキドキとしてしまうようになります。

これはまさにレスポンデント条件付けに該当する例です。
本来ドキドキとする相手は上司だけなのにもかかわらず、上司と同じ眼鏡をかけている人という全く関係のない人に対しても条件反射でドキドキしてしまうようになってしまったんですから。

それでは、この例のような状態になった場合、この人は今後どうするのでしょうか?
恐らく、無意識にドキドキの対象となる人を避けるように生活をするようになっていくと思います。
当然、マイナスが目の前にあるとわかっていると人間はそれを避けようとするんです。
逆に、目の前にプラスがあるとわかれば人間はそれを得るための行動をしようとします。

こうした行動を説明するのは、次に説明するオペラント条件付けです

オペラント条件付けとは??

皆さんは自動販売機を使ったことがありますか?(使ったことがない方は…すみません)

自動販売機って、お金を入れてボタンを押すと商品が出てきますよね。
というか、商品が出てくるからボタンを押しますよね?

では、商品が出てこなかったらどうしますか?
押さないのではないでしょうか?

これがまさにオペラント条件付けなんです。自販機のボタンを押せば、商品が出る(=良い結果が出る)と期待出来るからこそ、ボタンを押すという行動が生まれるわけです。

ちなみに、この例の「自販機のボタンを押すと商品が出る」のような、人間にとって良い結果となる行動内容のことを、正の強化子と呼びます。

先ほどの上司に怒られる人の例のように、「ドキドキする」という経験をしないよう、「対象となる人を避ける」という行動をとる場合には、ドキドキするという状態を避けられる、というある意味ではよい結果を生じさせています。

これは、自販機の例のように何か良いものを得ているというよりは悪い結果をなくすことができているということで負の強化子と呼ばれています。

要するに人の行動はその行動の後にメリットがあるかどうかによって変わってくるようです。

人間の行動が増えたり減ったりするのは、このオペラント条件付けによるところが大きいと考えられます。

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自分の行動は振り返るとどうなっている?

さて、ここまで2つの条件付けについて話をしました。
では、自分の行動はどのように成り立っているのでしょうか?

例えば、仕事から帰っていつもリビングのソファに座るとスマホを見て長時間過ごしてしまう人はいませんか?
これもある意味では条件付けの働きによるものだと考えられます。

疲れた状態で帰宅

ソファに座ってスマホ

疲れた状態の自分にとって、ソファに座ってスマホを触るという行動はとても楽なものなので、ついついその行動の時間が長くなってしまうんですね

では、このようにスマホを触ってダラダラしてしまう状態を脱却するにはどうしたら良いか?というと、
ソファに座ってスマホを触るという行動によって、よい結果が出ない状態にする、もしくはソファに座ってスマホを触るよりもさらに良い結果をもたらす行動を考えればいいのです。

「そんなこと簡単に言わないでよ!」

と思ったかもしれませんが、行動を変えるとは自分の行動によって結果がどのように変わるのかということまで考えるということなんです。

例えば、ソファに座ってスマホを長時間触ることによって、スマホから電気ショックが流れるとしたら、皆さんどうするでしょうか?

きっと、スマホを触るのをやめますよね。
極端に言うと、行動を変えるってそういうことなんです。

「結果として何が起こるのか?」ということを把握するように心がければ、どのように行動を変えればいいのかはおのずと見えてくるはずなんです。

ちなみにですが、ソファでスマホを触ってしまうことは私もよくあります。

私はそうやって時間を使うことによって妻から白い目で見られることがわかり、同じ時間を本を読んで過ごすことにしました。
結果として本を読むことで知識が身につくだけではなく、睡眠の質が上がることもわかり、思わぬメリットを見つけることができました。
このメリットがわかってからは、スマホを触っている時間はかなり減ったと思います。

このように自分の行動をその結果も含めて検討することで、行動を変える糸口がわかることも多いです。

また、普段の行動を少し変えてみると、思っていた以上のメリットが出てくることもあります。(当然、デメリットが出ることもありますが…)
皆さんも今の生活の中で、自分の行動を吟味して有意義な行動レパートリーを身につけてみてはどうでしょうか?

※人間の性質として、目の前のメリットに飛びついてしまい、長期的な視野でメリット・デメリットを考えない傾向があります。
今の行動のメリットが短期的か?長期的か?といったことにまで目を向けると、より役に立つかもしれません。

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私もプロの心理士として、行動分析の勉強は日々欠かせませんが、行動分析について学んだり、自分の行動分析をする際には、この本がオススメです。
自分の行動を科学的に分析して問題解決をしていく、という内容なのですが、多彩なケーススタディを用いて多角的に行動分析を学べますので、是非読んで参考にしてみて下さいね。

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まとめ

今回は、皆さんの行動をレスポンデント条件付けとオペラント条件付けという2つの条件付けによって説明しました。
難しい話かもしれないですが、要するに人間はメリットのあることしかしないものです。
そこを考慮したうえで、自分のメリットが最大になるのはどんな行動なのかを改めて考えてみてくださいね。

ではでは

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