皆さんストレスといわれると何をイメージされますか?人によってさまざまではあると思いますが、イライラするとか怒ることについてイメージする方は多いのではないでしょうか。今回はそういったストレスから生じる怒りの感情について話をしていきたいと思います。
怒りとはどのようなもので我々にどのような影響を与えているのでしょうか
怒りとはどのような感情?
そもそも怒りとはどういった感情なのでしょうか。
辞書的には怒りとは「人間の原初的な感情の一つで、欲求不満によって生じることが多いとされる感情である」とのことです。
まあ簡単に言うと、嫌なことがあったときにイライラしたりカッと頭に血が上るような体の反応が起きている状態を怒りと呼ぶということですね。
まあこんなことは言われなくてもわかっていると思いますので、確認です。
皆さん怒りを感じているとき体や心はどのような状態になっているか覚えていますか?
怒りの感情があるときは心身の状態も色々と変化をしていることが多いです。
では怒りがあることによって心身に何が起こってしまうのでしょうか?
怒りが心身に何をもたらすか?
多くの論文で、怒りを感じたときの心身の反応について検討をされています。
その中でも最も多い指摘として、交感神経系の活性化です。
交感神経系が活性化されると、血圧の上昇や筋肉の緊張などの症状が現れます。
「怒ると頭に血が上る」というのは間違いではなく、怒りを感じることで交感神経が活性化され血圧が上昇、体に力が入った状態にもなりやすいので、頭がカッカとしているように感じるというわけですね。
参考文献:怒りとその表出に関わる心理学的研究の概観
イライラして力が入るとどうなるでしょう?
私の場合もあまりよいことはないですね。危険な作業、例えば運転とかに関しても、思わぬスピードを出していたり、注意が散漫になったりとあまりいいことはないです。
多少のイライラであれば「負けるか!」とモチベーションアップにもつながるんでしょうが、一定の水準を超えるとどうしようもなくなってしまうこともあります。
また怒りを感じると、視野が狭まり、本来のパフォーマンスを出せなくなることも多いです。
例えば、書類を提出したけど、上司から「ここのデータ間違っているよ」と指摘されるという場面
ここで怒りを感じていると…
「お前が直せばいいじゃないか!」「頑張って作った書類なのになんで返されなきゃいけないんだ!」など、相手を攻撃するような気持ちや、逆に相手から危害を加えられたという考えがめぐります
でも、よくよく考えてみると「上司は自分の書類をちゃんとチェックしてくれているし、チェックの段階でミスをしている自分にも問題がある」というポイントを見失ってしまっているんですよね。
この例は少し極端でしたが怒りによって思考にフィルターがかかってしまうことはよくあることです。皆さんにも同じような経験はないですか?
このように怒りを感じることによって、心身に様々な影響を及ぼすわけですね。
怒りをどのようにするのか?
怒りへの対処の仕方は基本的にはストレスの対処とあまり変わりはありません。
そもそもの怒りの根本をなくしてしまうのか、怒りの感情を長引かせないようにする方法を考えるのかという2パターンですね。
- 怒りの根本的な原因を取り除く
- 怒りを長引かせないように気をそらす
根本的な原因を取り除くことができればよいのですが、怒り心頭の状態では難しい…
その場で少し落ち着けるようにしてから原因を考えたいものです。
なので、まずは怒りを少しだけ落ち着けることを考えていきます。
怒りは基本的にどれだけ長くても20分程度しか持続しないといわれています。
また、強い怒りは初めの6秒をやり過ごすことができれば自然に収まってくるともいわれています。
ここではその場でできる怒りのやり過ごし方ついてお話します。
怒りは長引かせない!
怒りにまつわることを考えてしまうことによって、改めて怒りを喚起してしまい怒りが長引いてしまうことがあります、そうならないようにきちんと怒りの処理をしていくことが肝要であると思います。
最も重要なのは「怒りを客観的に眺めること」です。何かよくわからないことを言っているように思われるかもしれないですが先ほどの書類の例を使って説明しますね。
先ほどの例の中では、怒りによる思考のフィルターがかかることによって上司がきちんと書類をチェックしてくれている事実や自分にも不備があったという点が見落とされていると話しました。
客観的に怒りを眺めるということはそうした見落としている点を改めて振り返ることで「ほんとにそんなに怒るようなことか?」といったん立ち止まって見ることです。
怒りは二次感情
皆さんは嫌なことがあったときにどのような感情になるでしょう。
例を使いながら見ていきましょう。下の例について少しイメージしてみてください。
友人と遊びに行く約束をしていたあなたは、集合場所の駅前に5分前に到着しました。友人の姿はありません。その後待ち合わせの時間になりましたが友人は現れません。
待ち合わせ時間の15分後、あなたは友人に電話をしてみます…友人は出ません。
待ち合わせ時間の20分後、あなたは友人に「何かあった?今日は来れそうかな」とLINEします…既読もつきません。
待ち合わせ時間の40分後、笑顔で現れた友人は「ねえ、ご飯食べようよ」と何もなかったかのように遊びに行こうとしました。
あなたならどう感じるでしょうか?怒りませんか?怒り心頭ですよね。
でも、なんでこんなに怒りたくなるんでしょうか?
この例で、友人が一言「ごめん、ちょっと電車遅れてて、どこかで時間つぶしてて」と連絡してくれたらどうでしょう。ここまで怒り心頭にならなかったのではないでしょうか。
そうなんです、この例では怒り以前に「友人は自分のことをないがしろにしているのでは」とか「友人に何か事故でもあったのでは」と心配をしているんです。
そして、そのあとけろっとした様子で遊びに行こうとした友人に対して、「心配したこの気持ちを返せ!」といわんばかりに怒りが大きくなったわけです。
このように本来満たされるべき心配という感情が満たされず、怒りに派生してしまったわけです。
この場面では心配というのが一次感情、派生して出てきた怒りは二次感情と呼ばれます。
一次感情と二次感情を区別して対処する
一次感情と二次感情では、質が違います。そのため対処の仕方も変えていく必要があります。
先ほどの友人との待ち合わせの例を思いだしてみると
一次感情→待ち合わせ時間に来ない友人に対して心配をする気持ち。
二次感情→こちらの心配を意に介さない友人に対して怒る気持ち。
このような気持ちになっているわけです。
まずは二次感情への対処をします。というのも、一次感情はこの場面では二次感情の怒りに隠れて見えなくなっています。まずは二次感情を落ち着けてあげるのが良いでしょう。
落ち着け方は、先ほど紹介したシリアル3などを使うとよいでしょう。
少し二次感情が落ち着いてくると「なんでこんなに怒ってたんだっけ」と冷静に自分を分析する余裕が出てきます。そこから一次感情に対処していくわけです。
一次感情の心配していた気持ちや、心配が怒りに転じてしまったその気持ちの変化を少し分析して、気持ちを切り替える対処をしていくことが求められます。
「まあ心配していたけど、無事に待ち合わせには来たし、今日は楽しもう」といった感じです。
気持ちに関する分析と切り替えに関してはストレスへの効果的な対処「認知行動療法」についてで紹介しているのでそちらもご覧ください。
まとめ
今回は怒りの感情について話をしました。とにかく怒りを感じたらその怒りを爆発させないようにすることを最優先にしましょう。
今回は一次感情と二次感情に関しても話をしました。怒りを落ち着けた後は、「なんでそんなに怒っていたんだろう」と振り返って、自分の一次感情に気づけるようになると、効果的に気持ちを切り替えることができますよ。気持ち穏やかな毎日を過ごせるようになるといいですね。
ではでは